番外編のJebel Jais最終話。
前回三度目の正直で登頂に成功して以来、2021年の大晦日にまたも挑戦。
何度も挑戦しているうちに登山にまってしまったのだ。
しかし、この挑戦が後々大後悔することに。

なんと雨がほとんど降らないUAEにおいてこの日はあいにく大雨に見舞われてしまったのだ。
一年中晴れの国なので油断してしまったのが悪かった。
よく考えたら普段はちらほら途中で見かける登山客や彼らが出発地点に止める自動車も駐車場に見かけなかったなど、振り返ると気付くべきポイントがいくらでもあった。


そんなことにも気付かずに結構涼しい気候だなとか思いながら、奥深くまで登ってしまった自分。数時間歩いていたので今更すぐに引き返せるわけでもない。
そして途中ポツポツと雨が降り始める。


雨の勢いが段々と強くなっていても、すぐに引き返すわけにもいかず、仕方がないのでやり過ごすための雨宿りができる場所をなんとか探すことに。
しばらく急ぎ足で歩いて探し回ると巨大な岩とその下のスペースを発見。
そうこうしている間に土砂降りになっていたが、なんとかその岩陰に座って雨風から避難をすることに成功。



岩陰では30分ほど待っただろうか。
岩の横を流れていく雨は日本の台風のような勢いでものすごい雨量で流れる。
UAEではめったに見られない気象だ。


その時は帰れるか不安になったものの、経験上この国での雨は長続きしないとわかっていたのでしばらく待てば収まると信じてひたすら岩陰で耐え忍ぶ。
もちろん服はずぶ濡れの状態なので体温も奪われていく。


がたがた震えながらも、そうして凌ぐこと30分ほど、雨が徐々に収まっていき、遂にとまる。
そして、先ほどの雨が信じられないほどの快晴に。


周りを見渡して驚いのが大自然が生み出す絶景。
いままで無機質な岩肌の見える一面灰色の山壁の至るところに細くかなり高低差のある滝が形成されていたのだ。
水の色も茶色っぽいので写真にするとわかりにくいが、肉眼では視界一面が無数の滝だらけ。
乾燥砂漠地帯では想像だにしなかった光景で驚いてしまった。


しかも周りに自分以外の登山客などいないので景色は当然独り占めである。
しかし、こうなってくると浮かび上がる不安は果たして無事に下山できるのかということである。


天候がすこぶる良くなったので気を取り直して登頂に向かうのもありだったのだが、念のため早めに下山をすることに決めた。


途中までは良かったのだが、谷底エリアまで降りてくるとびっくり。
今まで岩が転がるだけの場所に川が形成されているのだ。


歩くのに必死であまり良い写真を撮らなかったことに後悔しているのだが、今までは何も考えずに進んでいた場所が水没しているため、岩と岩を飛び歩きながら下山することに。


最後の方で川の対岸へ渡らなければならず、そのポイントがなかなか見つけられなかったのだが、なんとか頑張ればいけそうな場所を見つけたので、うまく渡った。
道が途切れないか不安に思いながらもなんとか無事に出発地点まで帰ってこられた。


更に大変だったことは車によるオフロード区間。
出発ポイントまでの最後の20分程度がちょっとしたオフロードでそこを通って車を停めるのが多数の登山者のやり方だったので自分も同じようにしていたのだが、このちょっとしたオフロードが暴風雨によりかなり荒々しい地形に変化していた。
当然車で簡単には通れない。
途中頻繁に車を降りては前方の巨石を取り除いたり、荒れた地形をならしたりしながらして車を少しずつ進めていく。
もちろんこんな状態なら歩いた方がよっぽど早かっただろうと後悔。
しかも舗装路に出る最後の最後の区間は傾斜がきつくてとても走れそうにない。
仕方ないのでトランクに積んであるスコップやスタックした時用の板を取り出して、なんとか走れるような路面状態に整地する。
そうしてようやっと舗装路にでることができたのだ。
帰り町までついてスタバで休憩した時にはやっと一息ついて安心した。
波乱万丈な大晦日の年越しを過ごすこととなったものだ。