駅から鉄道で出発
先述のハジャイ駅からマレー鉄道に遂に乗車する。
これまで海外では都市鉄道や単距離路線にしか乗車した事がなく, これが初めての長距離鉄道への乗車であった。(といってもその一区間だが)
この路線はバンコクから始まり, 南部ハジャイにて東海岸路線と西海岸路線の二手に分かれるが, 最終的には合流してシンガポールまで繋がっている路線であり, 乗り継いでいく事でどんどん南下していくことができる。
日本ではマレー鉄道の名称で大変高い知名度を誇っており, 小説等の影響からバックパッカー憧れの鉄道路線でもあるのだ。

ハジャイ を出発するのは朝7時半頃, つまりバンコクから夜に出発して夜行列車としてここまで来たのである。
タイからマレーシアへ
乗車して1時間程走れば, 国境に程近いPadang Besar駅に到着する。
とはいえ既に国境は過ぎているのでマレーシア領である。
駅の雰囲気はハジャイとは打って変わって一気に近代的になる。
立派な屋根と奇麗なプラットフォームを構えるマレーシアの駅に古いディーゼル車両が滑り込む様子は国境ならではの文化が入り混じる不思議な様相を呈している。
乗ってきた車両の隣にはイースタン&オリエントエクスプレスが停車していた。

アジアを走る豪華寝台列車だ。安価な旅行を好むバックパッカーにはあまり縁がないが, シンガポールから各地を周遊しながら二泊でバンコクまで向かうクルーズトレインである。
旅程にはジョージタウンの街歩きやカンチャナブリのクウェー川鉄橋など観光の目玉となるスポットも含まれており, 世界中でクルーズトレインを走らせるベルモンド社により運営されている。


車体に Eastern & Oriental Express との文字が。
ピントが合っていないがE&Oのロゴも恰好良い。
ここでは駅のホームの半分がタイ側扱い, もう半分がマレーシア扱いとなっているようだが, 実際にはこの間を区切るような柵も何も無く, 通ろうと思えば通れてしまう。
四方を海に囲まれた日本人には何とも不思議な光景である。
駅の周りに何かないものかと降りてみたのだが, 特にこれといったものは見当たらなかった。
ただ, 国境駅だけあって見渡す先まで無数のコンテナが積まれている光景が見られた。


久々にマレーシアコーヒー(Kopi)を売店で買う。濃厚でまったり甘いマーガリンローストコーヒーである。

マレーシアへ入国後に乗った電車もやはりアジアらしさというよりも日本のように清潔で電子化されていて揺れも少なく近代的であった。
コーヒーを飲みながら車窓を眺めてぼーっとしていると, いつの間にか終点のバターワース駅へ到着した。
この間にはアロースターをはじめとするケダ州を通過している。この地域は初代首相のラーマンや現首相のマハティールの出身地であり, 著名な政治家を輩出する産地としても知られている。
この駅からは近くにある港から船に乗る事で対岸のペナン島へ渡ることができる。

ペナン及びバターワースは単なる観光地ではなく, マレーシア工業の一大集積地という側面もある。
船から眺める海岸沿いに高層ビルが立ち並んでいるのは発展途上国のイメージが付きまとう東南アジアには似つかわし景色にも思える。
観光産業のみで食って生活しているわけではないので, ぼったくり等をふっかけられるような危険も感じられず, 人々の立ち居振る舞いもどことなく余裕を感じられる。
バターワース駅からフェリーの発着場まで普段は徒歩で行けるそうなのだが, この時は歩道橋が工事中で無料のシャトルバスが出ていた。


そして船の乗降口へ。



チケットは行きの乗り場で買って、往復分が利用できる仕組みで、改札まであって鉄道のようだ。相当利用客数が多いのだろう。


港からフェリーで15分程度で無事にペナン島のジョージタウンへ到着である。

