アラブ首長国連邦を代表する都市として知られるドバイやアブダビの輝きがある中で、ラスアルハイマはその静けさと自然美で訪れる人々を魅了する隠れた宝石。
ラスアルハイマは古くからの歴史と文化が息づく都市。その歴史は古代からさかのぼり、交易の要所として栄えオマーン山脈が連なる美しい自然に恵まれた地でもある。
出発はドバイの旧市街にある定宿。

この時はローシーズンであるためクリスマスから年末にかけての値段とは全く異なる5000円もしない料金にも関わらず何故か部屋が二つもあるスウィートルームに宿泊させてくれた。


この時期はラマダンと呼ばれる断食期間中で日中は公共の場所での飲食は禁止されている。そのため旅行者も少なく観光業関係は安価に利用することができるからかもしれない。


ラマダン中の一つの特徴は喜捨が行われる事。
元々貧しい人々の痛みを分かち合うために行われるものなので, この時期に食料や金銭援助などが行われる。
旧市街のオールドスークでも朝人が集まっていたので何かと思えば, どうやらそういうイベントがあったようだ。


ドバイ対岸のBur Dubaiへと移動。


対岸へとやってきた。


ここからすぐのところにあるバスターミナルにてラスアルハイマ行きを探す。
ドバイはUAEの他の街と異なりバスターミナルがいくつかあるのが特徴。
アブダビへ行くのに便利な南部のイブン・バットゥータやバスターミナルや旧市街中心部にあるアルグバイバ, そして北部路線が多く発着するユニオンなど, 行き先によって出発するターミナルが異なるので事前に調べておく必要がある。


窓口にてチケットを入手。
ラスアルハイマ行きは日に何本か一時間おきぐらいに出ているようだ。
間を繋ぐ高速道路は起伏も少なくよく整備されているため乗り心地は快適。
寝ていたらいつの間にか到着した。


ラスアルハイマの街中ではなく実際には隣のアルハムラという街にバスターミナルが存在し, ここからタクシーで移動しなければならない。
一緒のバスに乗っていた老夫婦がここから更に北部にあるオマーンのムサンダム半島地方へと向かうらしくタクシー運転手と料金交渉していた。
安く済ませたいからか相乗りを誘われたが, あいにくパスポートを持ってきていないのでお断り。
しかも運転手達に相乗りは許されていないぞと怒られていた。
最初できるだけ稼ごうとそういう事を言おうとしているのかと思ったが値段を聞いてみると良心的な価格設定で老夫婦も納得していたので, おそらく本当に禁止されているのだろう。 (いくらだったか忘却してしまったが, かなり長距離を移動するにも関わらず数千円程度であった)


市内中心部へとやってきた。
とりあえず付近の博物館を訪問。


伝統的な家の間取りを再現された部屋で受付の人が説明してくれた。
ラスアルハイマはタクシードライバーもそうだったのだが, 皆フレンドリー。
UAEのすべての首長国を訪れた自分の個人的印象ではここが一番人柄が良いように感じる。



中庭があって中東の伝統ある町の歴史地区でよく見かける風採りの塔みたいなのがある。
採風塔あるいはバードギールとも呼ばれる。
建物内の部屋へ入っていくと独立前のUAEの写真が掲載。






海洋関係の展示も豊富。
かつて天然真珠採取業をはじめとしてこの地域のアラブ人にとって海は彼らの生活に欠かせないものであった。




かつて独立する前のUAEはオマーン休戦土侯国と呼ばれていた。
休戦とあるのはイギリスと休戦条約を交わして保護国となったからなのだが, 条約以前には海賊海岸などと呼ばれており, この地域の海上で活発に活動していた。
そしてその中心となっていたのがシャルジャやラスアルハイマといった北部首長国である。
まだUAEが全然栄えていない頃の大昔の世界地図にも都市名が記されるのは今有名となっているドバイでもアブダビでもなくシャルジャやラスアルハイマといった町なのだ。




博物館を出て中心部らしきところへと行ってみる。
暑い日中ということもあって中心どおりは営業している店もまばら。歩いている人などほとんどいない。



ちなみにラスアルハイマには世界的に活動されているRAKセラミックという企業が存在し製造業が盛んだったりする。


またタクシーでバスターミナルへと戻りドバイへと移動する。


やってきたのは頻繁に食べにくるYUi
UAEを代表するラーメン屋だ。
今回の旅のみだとラスアルハイマの魅力を伝えるには十分でなかっただろう。
UAE標高最高地点のJebel Jaisをはじめとして郊外に大自然が広がっていることこそラスアルハイマ最大の魅力だからである。
ラスアルハイマのこういった側面も次回以降紹介していきたいと思う。